透明な時空

吉島一夫遺作集

何年ぶりで読んでみた。亡くなられて34、5年何回読んだろう。もう表紙もボロボロで、

多分時が過ぎると自然に手に取る。んだろう。30才前後、大変な出会いだったんだろう。

仕事もいただいた。所員じゃないのに、用事も無いのに相当かよった?

よく、日曜日事務所に呼ばれた。1人でスケッチしてた。いただいてる仕事の打ち合わせという理由。

私にとっては今考えると大変な時間だったんだろう。

所員でも無いのに、相当の時間を吉島先生の事務所で過ごした?ように思える。

 

ガンになられて、一度だけ病院に見舞いに行った。

何を話したか記憶がないが長い時間いたような気がする。

ベットの上で膝の上に製図板を置いて、先生が手を動かしながら話されていた。ような記憶である。

七夕の時期だった。病院の廊下に置かれた竹に結ばれた一枚の短冊を手に取り、

書かれてる歌の説明とひととなりを話してくれた。数日前亡くなられたとの事だった。

遺作集は、膨大な日記(エッセイ?〕中から、奥さんの許可を得て

110ページぐらいに纏められたと聞いている。

 

吉島一夫は天才である。こんなに感性豊かな人はいない。建築の世界だけでは無い。

これを読むと文筆の世界でも大変な人になっていただろう。

私の薄っぺらな感性で吉島一夫を語るなどできやしないのでやめる。

ただ、この『透明な時空』を読んで感じる事。

『気持ちに一点の曇りもない』?うまく言えない?⁈やっぱり透明感なのかもしれない。

 

なぜか、吉島先生が読んでいたバタイユの『青空』が手元にある。

多分、記憶にないが、読む?と言われて渡されたんだろう。読んでいない。

けど、本棚にあるだけでいい。

 

吉島先生の親友である、彫刻家の井上武吉先生との出会いもあった。

それが久屋大通公園のコンペにつながる。

: tanno :