9月初旬。
現場所長から「和室の木を発注したいので打合せをお願いします。」との連絡があり、完成間近の現場に行く。
和室の打合せなんて本当に久しぶりだ。
柱、廻縁、落し掛け等の寸法を決め「太ければ少し削ってもらう」と言うと
「それはできない」と言う。
加工し、練付けた木が現場に入ってくるとの事だ。
驚きである。
「じゃあ極端に言うと、大工さんはカンナは使わないという事か。」
「そうです。」
―――考えてみると思い当たるふしがいくつもある。
これじゃ、一人前の大工を目指して修行するなんてあほみたいな話になる。
本当に特殊な建物を除いて必要としないのだ。
後日、畳の打合せをした。
「本畳なんて作っている職人はほとんどいません。」とのこと。
特に、藁は震災以後使われなくなったという。
私の現場はスタートすると、各職種の担当及び現場監督と“顔合わせ”と称して飲み会を行う。
上棟時には施主を交えてみんなで一杯やる。
みんな喜んで出席してくれるが、“時代の変わり目”を感じているのかもしれない。
本当に人間、どうしちゃったんだろう……。
:tanno: